その1 片麻痺障害者を4つのグループに分けて考えてみよう [障害者として生きる]
これまで、私自身に対しても、脳卒中片麻痺障害者同士の会話も、ブログの記事を読んだりしていても、いつも疑問に思っていたことがあります。ありていに言えば(ぶっちゃけ)視野が狭く頭が硬い。これも後遺症なのか?と多少疑問に思っていたのです。
皆さんもご存知のように、脳卒中片麻痺障害者といっても、損傷の部位と程度、それによって受けている障害の種類(右左麻痺、言語、高次能機能等)やその程度は、人それぞれです。
にもかかわらず、その前提を無視してしまう。
小学生と大人のタイムを比較したり、同じ短距離100mと言っても、オリンピックとパラリンピックとをタイム比較しても意味なないことは明らかです。
それなのに同じ脳卒中片麻痺というだけでこれをやってしまう。人間もいろいろで比較しようがないケースなのに。
比較すれば、滑稽でしかない。それなのに実際はそんなことしているように感じます。
そこで、今回非常におおざっぱですが、年齢と障害の程度を基準として多少の区分をつけてみたいと思います。
これは患者を分け隔てようとの考えではなく、あくまで、脳卒中片麻痺同士で、他の人を理解する、あるいは自分と他の人とを冷静に比較する、そんな一助になれば、と考えたものです。
先ほど申したように、我々は千差万別ですから厳密な区分はできないのですが、それでも多少属性によりグループ分けしておかないと、議論がかみ合わないことになります。
そこで、年齢と障害のマトリックスを作り、我々脳卒中片麻痺障害者を区分し、その区分に応じておかれている状況を考え、さらに将来も考えて見るというのが、今回のシリーズです。
縦軸は、障害の程度、障害が重いか、軽いかの区分です。
横軸が年齢、年齢が高いか低い(若い)かの区分です。
そうすると4つのグループに分かれます。
A.年齢が若い(低い)くて、障害も軽い
B.年齢が高く、障害が軽い
C.年齢が若く障害が重い
D.年齢が高く、障害も重い
このグループ分けしただけでもAグループとDグループでは置かれている状況は大いに違うだろうし、リハビリの目標も内容も大きく違うことは想像できます。
「障害の回復を諦めてはいけない」は確かに正論ですけど、グループAとグループDでは状況が違いすぎ、同じ土俵では論じられないでしょう。
さて、縦横のそれぞれの基準線(分かれ目)ですが、これも厳密な区分は存在しないはずですが、私なりの目安を述べてみたいと思います。
年齢の高い低いは60歳程度(60~65歳)が分かれ目になると思います。
つまり、仕事で定年を迎えているかどうかです。
現役で仕事している人と、定年退職している人は置かれた状況、生活の仕方に大きな違いがあると思います。俗に言う「第二の人生」に入っているかどうかです。
次いで、障害の程度の基準です。
どの程度の障害を重い、軽いとし線を引きのかという基準です。これはかなり難しいのですが、おおむね私は次のように考えます(ただしこれは、上肢下肢手指に関するものです。言語障害、高次脳機能障害に関しての基準ではありません。)
それは、ブルンストロームステージでいうと、ステージ Ⅳすなわち「分離運動の出現」ぐらいまで、回復期の終わりに到達しているかどうかです。これは自分自身や他の同病者を見て個人的に漠然と感じてた分かれ目です。要は多少でも単独で動かせるかどうかの基準です。
ステージⅢは、共同運動パターンの段階で、共同運動すなわち全体的に動いてしまう。これに対して、ステージⅣでは、それぞれの関節が少し分離して動くようになる段階です。多少でも指が単独で動かせるかどうかで、作業療法の内容、磁気治療など先端の治療を受けられるかどうかも大きく違ってきます。磁気治療,CI療法などはこの基準で患者を選別しているように感じます。
専門家などの意見も求めたいところですが、ただこれも厳密、歴然とした区分はおそらく存在しないので、あくまで一つの目安で良いと考えます。
ちなみに私は現在、上肢 Ⅱ、手指 Ⅰ、 下肢 Ⅲです。下肢に関しては線上⦅Ⅳ)に近づきつつある段階です。54歳で発病し、現在60歳ですからグループCからグループDに少しづつ移りつつある段階でしょう。
次回からこのグループ分けにそって、おかれている状況など考えを進めてみたいと思います。
つづく
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タグ:目標指向的リハビリ
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