老いへの不安 歳を取りそこねる人たち(春日武彦著) [お勧め本]
老いへの不安 歳を取りそこねる人たち (春日武彦著)
今回ご紹介するのは、精神科医の春日武彦さんの著書です。
これまでのブログ記事の内容からすれば、やや異質(専門的)な感はありますが、先生にご登場願ったのは、「老い」とか「人」をこれまでより深く見つめてみたいと思ったからです。
私の読書ノートからの抜粋部分は次のような箇所です。
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□基本的に世の中は弱り目に祟(たた)り目。
弱者はそのことでなお追い詰められて不幸は不幸を呼び寄せる。
そのような意地の悪い仕組みになっていると言った認識が私の中にはある。
少なくとも医師として様々な形の不運や不幸を見てくるとそのような感想を持たざるを得ない。
□清濁併せて人間としての多彩さを受け入れ、あえて自分らしい年寄りを演じてみることで配役を全うしてみることを楽しめればベストだろう。人生なんて所詮は座興に過ぎないのだから。
□ところで人間の行動様式の最も根底にあるものはおそらく無力感だろうと私は考えている。
劣等感とか自己実現とかより深い所に根を張っている。
無力感を誤魔化そうとして虚勢を張る「ならず者」もいれば依存症に陥ったり、何かに「のめり込む」ことで乗りきろうとする者もいる 。
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私の感想です。
■「弱り目に祟り目」
「泣きっ面に蜂」、これ常識的に考えても起こり得ることはある程度は理解できます。「貧乏の連鎖」など経済効果などではわかりやすい話です。
また”マタイ効果”と呼ばれる「富める者はますます富み、奪われる者はますます奪われる」という現象も広く認められることです。
ですが、現実は、そんな常識的、経済的事象をはるかに超えたことが起こります。私自身も実際沢山見てきました。
苦しい経済状況で、休みも取らずに必死で働いているのに・・
なぜこんな奇妙な病気になってしまうのか??
なぜよりによって、こんな時に事故にあってしまうのか??
この人何んにも悪いことしてきてないのに、なぜ??、なぜ??・・・。
次々疑問がわいてきて、最後にはアホらしくなって大声で笑いたくなってくるのです。大声で笑いながら、涙が出そうになる。そんな経験も幾度かしました。
ですからこの春日さんの言葉には率直に頷くことができます 。こんなことを肌で知っている人の言葉には率直に耳を傾けたくなってきます。そんなことから、私は、精神科医である春日武彦さんの本を 読むようになりました。
■「清濁併せ呑む」
年を重ねたからと言って聖人君子のような面していても仕方ありませんし、第一面白くありません。それより「正義」も「悪」も世の中の様々な事柄を飲み込んで、ある種の自分らしい個性的な人間を演じればいいのです。私も、入院を何度か経験して少しこのコツをつかみつつあります。
■「無力感」
これは本当に怖い。私も一度だけ短期間ですが、全身から力が抜け落ちていて、立ち上がれない。もはや言葉が浮かばない世界を経験しました。単なる「心の病気」だったのかもしれませんが、「無力感」のようなものを多少経験しました。ただし脳卒中で片麻痺障害者になった後には、幸いなことに、こんな状態には一度も至っていません。
もし脳卒中で片麻痺となってこんな状態に陥れば、どうなるのか・・・。考えるだけで恐ろしい世界です。ただ、やはりこの状態を抜け出すには「良い人間関係」を持っていることが不可欠であろうとは思います。
それじゃ~また。
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