脳が壊れてもボクは漫画家! [お勧め本]
リハビリテーション・コミック 『「ノーサイド」からを』を今回ご紹介します。
「のーさいど」から~脳がこわれてもボクは漫画家! (リハビリテーション・コミック)
- 作者: 藤田 貴史
- 出版社/メーカー: 協同医書出版社
- 発売日: 2015/10/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
漫画家であり作業療法学科の学生でもあった藤田隆さんは、動脈2008年脳動瘤破裂により、高次脳機能障害を負うことになります。
以前、当ブログで紹介させていただいた整形外科医であり、自身も高次脳機能障害者である山田規畝子先生は、この本の帯で次のように述べられています。
「天職である漫画家というスキルを駆使してその世界を見たことのない健常者の方にも可視化して下さいました。薄闇に包まれた高次脳機能障害の世界を一度お訪ねください。
本当はどんな人にとってもすぐ手の届くところに入り口のある、危険で生きづらい不安な世界です。そんな世界に入り込んで帰れなくなった人たちの声も聞こえてくる本ができました 。」
それではいつものように私が印象深かった部分を抽出します。ただし文章部分だけです。漫画の部分は、実際手に取ってご観賞ください。
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■僕は半盲と麻痺もありますので普段は杖歩行です。杖をついていますとお子様に障害者を見せないように子供の視界を隠すをお母さんに出会ったりします。
面白いなーと思ったのは駅前なんかでしつこいぐらいにティッシュを配ってきていたお兄さん達が全くティッシュを渡してこなくなったことです。試しにわざと貰いに行ったら、顔をしかめて手を横に振られてしまいました。
障害者だってそこそこお金はあるし、買い物だってするのになぁなんて思います。要するにハンディを負ってしまった人間に対するコミュニケーション方法を発達段階で学習していないんだなと思いました。
老・病・死は未だにタブーなノリですが・・・。
■リハビリもイタリアン
この度イタリアで盛んに行われていると言う新リハビリ「認知運動療法」のセラピーをスタートしました。なかなか面白い世界ですのでたまにご報告させて頂きますね
リハビリといえばまず「評価」=検査です 。日本式のリハビリですと、ただでさえ動きづらくなって苦手意識のある自分の体に、さらに「あなたの体はこんなに悪いですよ」と数値や点数をつけられますもので、障害者はさらに自分の体に苦手意識を持ってしまいます。
結果不必要な筋緊張などで、ますます動かしづらい嫌いな自分の体になってしまいます。欧米のリハで良いなぁと思いますのは、自分の損傷した部分でさえもまずは好きになることです。きちんと認知して愛してやることで、現在の自分とうまく生きていけるようになるのです 。
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私は普段、街に出なくなっていますが、街で我々が遭遇する様々な「嫌なこと」が示され、さらにその原因を「発達段階での学習のなさ」との指摘は、なかなか鋭いと思います。
脳性麻痺等の障害児が普通学校・学級から締め出されていた時期が長くあります。このため多くの人は障害児と一緒の空間で生活した経験がないのです。遊んだ経験もないため肌で理解する機会を奪われてしまっているのです。これが大人になってもコミュニケーションがとれず障害者を差別する大きな原因の一つだと、私は感じます。
このことは我々中途障害者も理解しておいた方が良いと思います。我々は障害者が社会の中で置かれてきた状況に疎い様に思います。
闘いの芥子種(明石書店)
藤田さんが受けられた「認知運動療法は、別の本になって出版されています。こちらも後日ご紹介したいと思います。
それじゃ~また。
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