目標設定でなく死に向かって穏やかに下っていくお手伝い【「介護民俗学という希望」(スマイルホームの物語) 六車由実著(2】 [吠え!吠え!]
介護民俗学という希望: 「すまいるほーむ」の物語 (新潮文庫)
- 作者: 六車 由実
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2018/05/29
- メディア: 文庫
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目標設定でなく死に向かって穏やかに下っていくお手伝い
◆認知症になると赤ん坊扱い
「人なのに認知症になるとなぜか人として見られなくなってしまっている」事実があるのです。認知症になった途端に自分の事すら自分で決められない。と思われてしまい、善意のもとに本人不在のまま様々なことが決められて、まるで赤ん坊のように扱われてしまう。
それは自分たちのことは、自分たちに決めさせろ、といった自己決定権を主張しているのではないように思う。
そうではなく善意の下に、当事者不在のまま進められてきた決定のプロセスに対するアンチテーゼであり、当事者の自分達を中心に据えて共にみんなで考えて行って欲しいという切実な願いであり、社会に対する必死の叫びかけなのではないかと思うのだ。
◆目標設定が必要か
私はケアマネージャーの資格を得るための介護支援専門員実務研修を受けた。この時の「目標設定」ということに強い違和感を持った。
老いてなお目標に向かって前向きに進んで行かなければいけないのだろうか
老いとは、単に何かができなくなることでなく、死に向かって人生を下っていくことである。
利用者本人たちは、いかに死に向かって穏やかに下っていくことができるのか、という人生最大の課題に直面しているのに、それでもなおを前向きに上昇志向で目標に向かって自立して生きることが求められるのはあまりにも酷なことではないだろうか。
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それじゃ~また。
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