宮本輝著「流転の海」第9部「野の春」 完結編その1 [お勧め本]
2018年10月30日発行の宮本輝著「流転の海」第9部「野の春」ようやく読み始めました。
最終ということで、読みたくもあり、読んでしまうのが惜しくもあり、今日まで、ずるずる来ました。週末少しまとまって時間が取れそうでしたので、集中して読むことにしました。
結果、いつものように、読み始めたら引き込まれ一気に2日で読了しました。
福武書店の初版が1984年で、それから35年経っています。
野の春に生まれ、野の春に死んでいった無名の男。昭和の時代の波乱万丈の人生。多くの読者と同じように、私も30年以上かけて、この物語を読んだことになります。
降りそそぐ春の光と花の中に生まれ、事業に情熱を注いで、妻に甘え、息子を溺愛し、何より人間を愛した男の物語です。
最終の死に至る行程は、やはり平坦ではありませんが、交流のあった人々に囲まれた野辺送りのようです。春の柔らかな光の中で終りを迎えます。
次回から何回かに分けて、第9部「野の春」の内容をご紹介します。なぜ父熊吾は息子正仁(宮本輝氏)に最後になって残酷な言葉を投げかけたのか、私なりに考えてみたいと思います。
題名の「野の春」ですが「春の野」ではありません。つまり「野=宇宙」そんな認識だと思われます。
なお宮本輝氏には「春の夢」という作品があります。これは父亡き後の日々が描かれています。
【参考】 運命を決める意志 宮本輝氏「長流の畔(ほとり)」(流転の海第8部)
それじゃ~続きはまた
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