土門拳記念館の困難 [片麻痺でも旅がしたい]
私が山形県で楽しみにしていたのは酒田市の「土門拳記念館」を訪れることだった。 原発投下後の悲惨な人々の写真、九州の炭鉱の子供たちの写真、仏像の写真など、私は土門拳の写真のファンなのである。 ところが、著名な建築家が設計したと言うこの記念館、身体障害者には非常に厳しかった。 障害者用の駐車場があるのだが、これが遠い。一般の駐車場の方が入り口に近いのだ。 それから私は歩行器を押して入り口に向かったが、これが大きな鉄の扉で、片手の力ではどうにも開かない。 幸い、外を掃除をされていた職員の方がおられ、入り口を開けくださった。 帰りもこの扉を開けようと、苦戦していると、見かねた受付の職員の方が、わざわざ出てきてくれて開けてくれた。身体障害者だけでなく高齢者や女性も開けるのは厳しいと思う。 館内の売店にも階段を使わないと行けない。 設計の主題は、「この美しい自然環境と建物をいかにして協調させるかを最も重視し、その協和する響きの中に、土門拳の芸術空間をより高純度に熟成すること」だそうだ。 土門拳は2回の脳卒中により車椅子生活であった。その困難の中で撮影を続けた。 土門は、この土門拳記念館に、自力で入ることはできなかっただろう。 写真を通し、彼の弱い者への温かい視線を知っているだけに、腹立たしかった。 建物のデザイン重視で、入場者の事を考えていない美術館や博物館。これ全国に結構あるのだ。 私は美術館や博物館には、建物でなく、展示品を楽しみにに行く。 建物に求めるのは、デザイン性でなく、アクセスが楽で、展示品が見やすい機能性である。 |
それじゃ~また |
【同病の三本松のおじさん】の一言
土門拳さんの写真私も大好きです。レンズを通して彼の人間に対する優しいまなざしが感じられます。
又私はむしろ物の購入にあたって、品質、機能と同等ぐらいデザイン性を重視しますが、ご指摘の障害者にやさしくない建物はどれだけデザインにおいてすばらしいものであっても、利用する構造物として全く失格です。
設計者の勝手なエゴだけで設計図を通しての優しいまなざしがないようです。土門さんを見習えです。そしてこのような地域の風景に溶け込んでこない、奇をてらう構造物を作るのを容認する人たちの文化の低さを感じます。
【返信】
自らの作品重視で、入館者の事など全く頭にない建築家。行政がなぜこのデザインを止められなかったのか、本当に怒りを感じます。
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