茨木のり子さんは、1926年に大阪で生まれ。49歳のとき夫に先立たれ、以降31年間一人暮らしを続けました。一人暮らしを始めて2年後発表したのが『自分の感受性くらい』です。

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自分の感受性くらい  茨木のり子 


ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな


みずから水やりを怠っておいて


気難しくなってきたのを

友人のせいにはするな


しなやかさを失ったのはどちらなのか


苛立つのを

近親のせいにはするな


なにもかも下手だったのはわたくし


初心消えかかるのを

暮らしのせいにはするな

そもそもが ひよわな志しにすぎなかった


駄目なことの一切を

時代のせいにはするな


わずかに光る尊厳の放棄


自分の感受性くらい


自分で守れ

ばかものよ

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片麻痺になってから思い通り体を動かせず、ストレスと一緒に暮らす日々。 やはり苛立ち、気難しくなってしまう。それが、ひどくなって自分の気持ちを持てあます時、自戒を込めて時々読み返します。 

 

ちなみに同じ作家の宮尾 登美子さんは(写真中)同じく1926年生まれ、上坂 冬子さんは(写真下)1930年生まれです。ちなみに今何かと話題の多い石原慎太郎氏は1932年生まれ。このお三方からすれば弟です。

この年代の女性はどうしてこんなに強じんなのでしょう。

 

感性のみずみずしい頃(「わたしが一番きれいだったとき」 茨木のりこ)に戦争を体験された世代です。
 

「晩節を汚す」男性(作家、政治家)が多い中、この成熟ぶりは驚嘆させられます。
 

お三方とも歳を取られた写真見てもとてもお綺麗です。「覚悟も意志も」持って人生を全うされた美しい女性たちです。



それじゃ~また。