茨木のり子さんは、1926年に大阪で生まれ。49歳のとき夫に先立たれ、以降31年間一人暮らしを続けました。一人暮らしを始めて2年後発表したのが『自分の感受性くらい』です。
□■□■□■
〇自分の感受性くらい 茨木のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
□■□■□■
ちなみに同じ作家の宮尾 登美子さんは(写真中)同じく1926年生まれ、上坂 冬子さんは(写真下)1930年生まれです。ちなみに今何かと話題の多い石原慎太郎氏は1932年生まれ。このお三方からすれば弟です。
この年代の女性はどうしてこんなに強じんなのでしょう。
この年代の女性はどうしてこんなに強じんなのでしょう。
感性のみずみずしい頃(「わたしが一番きれいだったとき」 茨木のりこ)に戦争を体験された世代です。
「晩節を汚す」男性(作家、政治家)が多い中、この成熟ぶりは驚嘆させられます。
お三方とも歳を取られた写真見てもとてもお綺麗です。「覚悟も意志も」持って人生を全うされた美しい女性たちです。
それじゃ~また。