私は、脳卒中後の生活のなかで、病気前と比べ、何をやるにも「自信」が持てない。この状態が長く続いていました。

 

脳をやられたのだからある意味当然ですが、やはりもう少し「自信」を取り戻したい思いがずーとありました。


多くのご同病の方々は絵、書、俳句、ハーモニカなどに励まれ、素晴らしい作品を生み出される方々も多くおられます。

 

 利き手交換された左手で懸命に書道に打ち込み見事な作品を生み出された方は「武器を持つこと」の大切さを説かれています。

 

「趣味って武器なの? 」と私一瞬思いましたが、片麻痺障害者が自信を取り戻すための武器なのでしょう。

 

所が、私はこれといった趣味が持てません。もともと体育会系で、アクティブなものスポーツやドライブ、旅行が好きなのです。

 

老後は、ゴルフやキャンピングカーで旅行したいなど考えていました。

元々、芸術方面の才能が皆無なこともあります。回復期のリハビリ室でこんなことがありました。



脳卒中の後遺症のテストを受けた時、私の書いた図形を見たOT(作業療法士)の顔色が急に曇りました。

「お、奥さん! 近々病院にこられますか?」(声裏返っとるやん!)

「はい来ますが、何か?」

「少し奥さんと、お話し、したいことがあります。」



数日後女房はOTに促されて別室に入って行きました。

「何やった?」私も不安にかられ女房にすぐに聞きました。



「別にどうもないで、心配そうな顔してあんたの絵を見せはるから、うちの主人の絵は病気前からこんなもんですわと言ったら、えらい安心してはったで。それにしても相変わらず絵下手やなあ。私思わず笑たわ。」



というお話です。学生時代イヤになるほどサッカーでヘディングしてたんで脳出血の前から多少脳が壊れているのかもしれません。



まあそれはさておき、私の場合、武器となるようなものが見つからないのです。パラリンピックの種目を見てみてもやれそうなものはない。球を転がすボチャ、吹き矢どうも躍動感がない。



唯一の趣味は「読書」「種々の観賞」です。これまで仕事が忙しく読めなかった小説なども存分に読めるようになりました。好きな映画も見放題です。スポーツ観戦もテレビで好きなだけできます。でもこれらすべてが「入力系」なのです。私には「出力系」がありません。これでは自信は取り戻せません。時々訪ねて来てくれる友人とのおしゃべりだけが唯一の出力系でしょうか。



武器を持ち、自信をつけるには「出力系」が必要なのです。入力と出力のバランスが取れてこそ自信がよみがえるのだと思います。


  

   それじゃ~続きはまた。