そんな楽しい合宿(入院)生活もいよいよ終わりに近づきました。
 
リハビリ入院していたE男さん、k男さんが相次いで退院され、残されたのはトラ男さんと私のみ。私も2週間後には退院です。孤独を愛する別の方も入ってこられ、病室はずいぶんと静になりました。

しかし、トラ男さんのリハビリ室朝一番乗りはその後も続いています。表情も明るいままです。


いよいよ私の退院の日です。トラ男さんに挨拶して、その後、他の病室の方や、看護師さん挨拶していると、周りが騒がしくなってきました。

「トラ男さんがいなくなった!」また大騒ぎの始まりです。
でも私にはトラ男さんのいる所が、大体推測できました。

病院の玄関まで降りて来ると、やっぱりトラ男さんがそこにいました。トラ男さんは、私を見送りに玄関まで降りて来てくれたのです。トラ男さんはそんな優しい人なのです。言葉はしゃべれませんが、3か月近く一緒生活してトラ男さんの人柄は私に伝わっていました。
私にとり本当につらい時期に、こんな純朴な人と一緒に生活できたことは幸運でした。

リハビリ拒否のトラ男さんはリハビリ優等生になりましたが、トラ男さんを叱りつけていたPT(理学療法士)がトラ男さんの態度を変えたわけではありません。
 
トラ男さんの性格は最初から変わらないのです。ただ周りがトラ男さんを理解しようとしたことでその態度に変化が出たのです。W先生は新米のOT(作業療法士)でしたが、素晴らしい治療者マインドを持っておられました。

 終わり