緊急事態宣言がようやく明けた10月上旬、車一人旅に出た。といってもヨット初心者がいきなり太平洋横断はできない。まずは近場で片麻痺一人旅の訓練だ。


 




初日は、氷ノ山(ひょうのせん・兵庫県養父市と鳥取県八頭郡若桜町との県境にある標高1,510mの山)周辺の急カーブが連続する山道を走ってみようと思た。通行量が少なく、片手でのハンドル操作の訓練に最適だ。


 




クネクネと山奥の道を走っていると、突然こんな景色が目に飛び込んできた。


 


何じゃこれ?? 




地名を見ると「神子畑」と記されている。”神の子の畑”か、何か由緒(ゆいしょ)ありそうな地名だ。


 


これは面白そうだと、ネットで調べてみた。


それによれば、ここは閉鎖された明延鉱山の鉱石選別施設だったとか。


 


こんな山奥でも、鉱山となれば、人力に頼る昔であれば、非常に多くの人々が働いて、その家族も多く住んでいただろう。その男たち、女・子供たちの暮らしの喧騒を思い浮かべた。


 


「神の子」と名付けられたこの恵みの地に眠る貴重な鉱石を掘り出し、うんとお金を稼ぎ、豊かな暮らしを夢見ていただろう。そのために単調な力仕事である苛酷な労働に日々耐えていたであろう。


 


そんな庶民の日々の戦いと夢が思い浮かぶ。


 


 


・・今は、かっての繁栄は嘘のように、ただシーンと静まり返っている。おそらく潮が引くように一気に衰退していったのだろう。


 


芭蕉もどきで一句





秋風や 鉱山長屋 夢の跡