この荒波を眺めていると、まるで人生そのもののように感じてくる。




沖に向かって小さな船で漕ぎ出す。時にその船には女房や幼い子供も乗っている。


しかし荒い波に押し戻され、体力はどんどんどん消耗し停滞する。相手は巨大な力で、しかも飽くことなく繰り返し押し寄せる。




ついには力尽きて漕ぎ出すことを諦めてしまう。最悪の場合、嵐に襲われ船がバラバラに解体される。そんなこと想像してると、陰鬱な気分になってきた。 田宮虎彦の小説「足摺岬」そのままだ。




実際この日も夕方、天気は急変。強風・大雨の嵐となり、海岸から離れた道の駅に避難した。




しかし嵐は一晩中続き、車体はグラグラ横揺れが続き、激しい雨や風の音でゆっくり寝れなかった。





こんな嵐の日に、歩き遍路さんたちは大丈夫だったのだろうか。昼間すれ違った数人の顔が思い浮かぶ。初冬に遍路するという厳しい状況の下、さらに雨風に体力を奪われ絶望感に囚(とら)われていないだろうか、うまく宿に逃げ込めたろうかと、色々心配になってくる。


 

足摺岬は厳しい所である。






それじゃ~また