あけましておめでとうございます。
毎年、元旦に好きな本を紹介し、我が身をいさめ、決意を新たにしています。
二年前は「長流の畔(宮本輝著)」、前年は「無能の人(つげ義春著)」でした。今年は「夫・車谷長吉(高橋順子著)」です。
私は、出会いから結婚するまでの章を読んで、涙が出て仕方なかったです。
40歳半ばで初めて出会い、その後50才近くになって結婚した二人。私小説を書いていた車谷長吉と、詩人である高橋順子の遅い出会い。
男と女が出会い、夫婦になることで、創造される物があるのです。そんな出会から夫婦になって生活し、死別までのお話です。
車谷長吉氏は、自身の初めての本が出版されたら、筆を折り出家するつもりだった。その前に絵手紙を11通、詩人高橋順子さんに送っていた。返事は来なかった。以下本より抜粋いたします。
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私(高橋順子)は 長吉に手紙を書いた 「この後におよんであなたのことを好きになってしまいました」と。
「もしこなな男でよければ 、どうかこの世のみちづれにして下され。お願いします」そう返事して長吉は出家を断念した。
名月や石を蹴り蹴りあの世まで 長吉
入籍した。これから何年一緒に暮らせるかわからないが、 私は長吉を見届けるつもりだった。
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結婚後に、車谷長吉氏を代表する名作「赤目四十八滝心中未遂」が生まれたのでです。