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無邪気な人の残酷ぶり 『山本周五郎著「なんの花か薫る」』 [お勧め本]

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▼「空木」は、枝の中が空洞であることから「空(うつ)ろな木=空木」と名付けられたと言われています。

▼作家の「宮部みゆき」さんと「杉本章子」さんが対談し、 山本周五郎作「なんの花か薫る」に関して次のように発言されています。

(杉本)人が、人でなしの顔をして出てくるのはよくあるけれど、人でなしが無垢な善人として出てくる。

(杉本)無意識の悪意。本当に天真爛漫な「人でなし」のぬけぬけとした残酷ぶりをじっくり心に刻んでほしいと思います。


(杉本)本当に誠実で心の中にあることをそのまま言っているんだろうと思うんですね。だけど結果的にはすごいぬけぬけとした残忍な性格だなと思わせるわけですよ

(宮部)悪いことをしていると思っていないんですよね。ふっと邪悪が臭う 。

(杉本)山本周五郎の作品というのは人間の残酷さとか邪悪さとかが描かれている短編の方が私は心に残ります。

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辛い物語ですが、苦労知らずの人間の本性を突いています。裏表のない天真爛漫さで、周りの人を惹きつけますが、立場が変われば何の躊躇(ちゅうちょ)もなく、あっさり態度が変わる。まさに空木の美しさと、中身のなさを表しています。こんな自己中の人間に引っかかると心に深い傷が残ります。

山本周五郎の短編名作の一つです。
最近では作家の沢木耕太郎さんが、山本周五郎短編選集を編集し出版されています。

山本周五郎名品館III 寒橋(さむさばし) (文春文庫)

山本周五郎名品館III 寒橋(さむさばし) (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/06/08
  • メディア: 文庫
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【同病の三本松のおじさんの一言】
面白そうな本ですね。ほんとに人間ってわからない。いわんや親兄弟、妻、子供だって。逆にわかってしまうとつまらなくなるのでしょうね、人間の魔訶不思議な処です。

【返信】
無垢な善人、これほど恐ろしい者はない。周五郎の最高傑作の1つであると思います。他にも「榎物語」も人の縁の核心をつく傑作だと思います。

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