脳は回復する 高次脳機能障害からの脱出 鈴木大介著 の第2回目です。私が印象深かった点を抽出・編集します。
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◆視聴覚、臭覚、皮膚感覚、五感で感じるあらゆる強い情報を僕は無視できなくなった。
強すぎる照明の光、色とりどりの大量の商品、不快な匂い、蒸し暑さや寒さ、 我慢している尿意とか着ている服のタグのチクチクそんなものまであらゆるものが脳にとっては情報。
情報の奔流の中から必要なもののみピックアップすることができず、すべての情報を受け入れて結局全ての情報を処理できない結果として、何も出来なくなって苦痛だけが膨れ上がるはめになる。
このような中で人混みを歩けなくなった僕を助けてくれた3種の神器が 耳栓サングラス帽子である。
◆話しづらくなって言葉を失う。
これは心因性の身体症状で、 その正体はヒステリー球であるヒステリー球とは過大なストレスを味わい続けた人に起きる症状で、 喉に異物が詰まってるように話せなくなる脳梗塞、高次脳機能障害の二次障害である。
脳卒中や脳外傷後の高次機能障害当事者において受傷部位が右脳だろうと左脳だろうと当事者の書いた本や発言に、話しづらい。思い通り話せない。という訴えは共通している。だがやはり言語野損傷以外の明確な症状名もないし、研究者の発言も、もやっとして的を得ない。
僕が至った 発話困難は脱抑制やその他の高次機能障害による話しづらさであり、そのストレスによる2時次障害としての「心因性失語」だろうか。
◆最大のリスクは孤立である。
苦言を呈しては現代では医療現場も地域福祉の現場も プロフェッショナルには到底なりきれていないと思う。そんな状況下、 本書最後の訴えは 貧困問題を取材してきた僕にとって その記者人生のでたどり着いた結論はたった一つ「社会の中で最大のリスクとは孤立である」。
様々な問題や障害を抱えていても周囲に支えてくれる人がいたり、 適切な支援サービスにつながっている者は、もちろん生きていくのは苦しいだろうけど、大きなリスクに直面していない。
最もハイリスクなのは何者とも繋がらない人たちだ。
そもそも自分で自分の抱えた問題が分かっていない。誰かに相談や助けを求める言葉(言語能力)をそもそも持たない。
誰に助けてと言えばいいのか、調べる能力もない。たとえ救いの手を差し伸べてくれる人がいたとしてもそれを拒否したり、その相手と対立して攻撃的になったりする。 そんな彼らは歯の抜けたように周囲から人がいなくなり、どんどんひとりぼっちになっていく。
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感情障害による、激しい感情の発露は言葉を失わせます。 また身体を思い通り動かせない片麻痺は、日常がストレスの塊です。
ですから、これらの2次障害による、話づらさは、当然といえば当然です。
それじゃ~また