「介護民俗学という希望」(スマイルホームの物語) 六車由実著





 







介護民俗学という希望: 「すまいるほーむ」の物語 (新潮文庫)



  • 作者: 六車 由実

  • 出版社/メーカー: 新潮社

  • 発売日: 2018/05/29

  • メディア: 文庫






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「聞き書き」から表現するへ「人生すごろく」の持つ力



◆「聞き書き」から人生すごろくつくり




スタッフと利用者さん達が協力して作ったきた利用者さんの大川靖子さんの人生すごろくのお披露目をした。




ゲームが終わると、皆拍手をし、ゴールを喜びあった。すごろくをしながら靖子さんの人生を全身を使って追体験し、その人生物語を最後まで演じきることができた、ということをお互いに労(ねぎら)い喜びあってるようでもあった。




利用者さんとの関係性を逆転したり愛情を育んだりするための方法にも介護現場での「聞き書き」がその力を最大限発揮するのは、「聞く」という行為が作品になり「表現する」ことを前提として行うときである。




◆お披露目会に来ていたお客さん達の感想




・すごろく参加者がみんなで靖子さんの人生の一端を垣間見つつ、おめでとうを言い合う瞬間を体験してこのすごろくの持つ力の大きさを教えられた




・人生すごろくだように、お互いに認め合い分かち合い讃えあうことのできる場と雰囲気は、介護の現場だけでなくこれから地域社会全体に必要だ。





◆スタッフが、利用者に対して教えるという立場で関わる限り、それは介護現場のケアするケアされるという一方的な関係の枠組みを超えることはできない。むしろそれをさらに強化することになってしまう 。




◆そうでなくスタッフと利用者がともに参加し、表現として行われる「聞き書き」から人生すごろくづくりは、介護現場のありよう柔軟により豊かに変化させていく力を持つと言える。


 


 


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前回「目標」について、いきなり聞かれ怒りに震えた話をしました。


 


普段から、「聞く」という態度を示さずに、指導する上から目線からいきなり「目標」など重要なことを聞くと相手は心閉ざします。


 


まず素直に、同じ目線に立って聞くという行為から信頼関係を作っていく必要があります。この点『「聞き書き」から人生すごろくつくり』は素晴らしい試みだと思います。