秋の日、鳥取県の浦富海岸(うらどめかいがん)は、山陰の日本海としては珍しく荒波であった。




地平線も左右にきれいに広がっている。キャンピング・チェアを引っ張り出して、ぼんやり1時間程海を眺めていた。






思い出したのが若いころ新潟市で見た波の荒い日本海。坂口安吾の記念碑が建っていることで訪れたのだが、思わぬ波の荒さに驚いた記憶がある。この荒海を詠んだのが、芭蕉の代表作の一つ。




荒海や佐渡によこたふ天の河






しかし、荒れた海を眺めていて、どれほど想像の世界で俯瞰(ふかん)しようとも、荒海が島との間の”天の川”などという発想は浮かんでこない。波がしらが、キラキラ輝いて星空を想像させたのだろうか?




史実などからして、実際に見た風景かどうかは、判断が分かれるらしい。




もし、実際の風景を眺めながらこんな発想できたのなら、芭蕉はやはり天才だ。




いずれにしても凡人には、海から「天の河」のことばは浮かんでこない。




ただただ、ため息である。


 


 


それじゃ~また