病棟の土・日曜日は見舞客が訪れます。
同室の人に遠慮もあり談話室で話する人も多くあります。

日曜日のたびに見舞客が来るのが私と同年生まれ、54歳ので心原性脳塞栓(注1)による右片麻痺のA男さん。
私は談話室で本を読んだりすることが多いので、その会話がよく聞こえてきます。

ご近所の方なのでしょう、ほぼA男さんより20歳くらいは年上の方、そんな方たちが決まっていうのが、「若いから大丈夫や!すぐに良くなる」という言葉。

もちろん励ましの言葉なのですが、何とも残酷な言葉。A男さんは感情障害もあるのですが、もう大概泣いている。これを、またほとんどの方が、私の励ましに感動してると勘違いしているようで、満足げな顔をしている。

脳卒中片麻痺で若いということは、これから苦しむ期間も長いということで、若いから単純に早く治るなどということではない。54歳で同年生まれのA男さんも私も車いす生活。若いといわれるとドキリとする。当然、仕事の現役中に倒れ、将来を思うと暗澹(あんたん)たる思いがする。

お年寄りの見舞客達の、すべて年齢(若さ)だけで判断しようとする鈍感さ。見舞客に吠えるわけにもいかず、だだ気力なくうつむくAをさんと私メガネサルでした。
 
(注1)心臓にできた血栓(血の塊)がはがれて飛んで動脈を詰めておこる脳梗塞を心原性脳塞栓と言います。
 
   
 それじゃ~また