個性的でいい!健常者風の前歩きだけでなく、安全な歩行に基準を変更する。 [障害者として生きる]
私、不細工(ぶさいく)なんです・・・?
顔はもちろんそうですけど、歩く姿勢にスマートさが全くありません。杖をつき、どったんばったん歩いている感じでしょうか。それに時々横歩きや斜め歩きまでしますので、大概の人にギョッと驚かれます。
こんなこと書くと、ランク上位のブロガーから「ちょっと普通と違う歩行されている方。健常者風歩行でないとね。変な癖がつくということですよ」と、またまた嘲笑のやり玉に挙がってしまいそうですが(笑)
■目立つことは、存在感があり安全です
そんな姿なので、散歩中出会う人や車は、100%避けてくれます。「そこまで大げさに避けるか!?」というほど大きく迂回してくれる人もいます。
もちろんスーパーやショッピング・モールなどではそれほどではありませんが、やはり避けてくれます。中には、杖をついて肉売り場で肉をしげしげと眺めている私の横から突然手を伸ばす強心臓の関西のおばちゃんもいますが。
やはり皆さん、私の歩行フォームに多少違いを感じるようです。
高次脳機能障害の方にとって、外見が全く普通に見えることは、一つの大きな悩みですよね。ですから私が多少違って見られることはそんな悪いことではないと思います。年令からしても、今更外見で女性に持てるはずもありませんから。
■フォームより安全に歩くことに価値基準を変更する
慢性期には、同病者の多くが歩行中転んでいます。骨折して1~3か月入院する人はざらです。ですから、慢性期の我々には健常者に比べフォームは多少不細工、さらに横歩き等異形の歩きでも、安全に歩くことが一番大切なのです。そこに価値基準を変更すべきなのです。目立つためにも、杖は必須アイテムでしょう。もちろん腰など体を痛めることに留意が必要ですが、そもそも安全な歩き方は体への負担は少ないはずです。
そこがセラピストの指導に大いに違和感を感じる点なのです。とにかく何でもかんでも健常者と同じ姿で歩かせようとして、かえって無理して歪んで、不自然な歩き方になっていくような気がして仕方ありませんでした。
もちろん健常者の歩き方が、効率的で安全なことは、言うまでもないことですが、それは健常者に言えることで、障害者には能力の限界があります。急な坂道で足がすくんだ状態での健常者の歩きは片麻痺には厳しい面があります。雨の日、健常者の歩き方にこだわっていたら私は未だにずぶぬれで歩いていなければなりません。ですから私は横歩き等異形な歩行を今後も続けます。ただし、前方二動作歩行の改善(分回し等)、横歩きの改善などにも併せて取り組んでいきます。
■金沢大学の生田教授の横歩きに疑問が解かれました
障害の程度や、歩く場所の状況により様々な歩き方があっていいのでは?とずーと思っていました。
その疑問に唯一答えてくれたのが、金沢大学の生田教授でした。先生は日本でセラピスト・作業療法士として初めて医学博士となられた方で、臨床家として、大学教授として実践と理論両方に精通されておられます。片麻痺障害者のADL(日常生活動作)研究の第一人者です。横歩きも積極的に勧められています。先生の指導はこちらから。
■イチローも野茂もフォームは変則です
日本人野球選手のパイオニアとしてメジャーリーグで大成功したイチローも野茂もフォームは変則です。でも彼らが、日本のセオリー(確立されたファーム)にこだわってばかりいては、大リーグでの大成功はなかったでしょう。自分に合ったフォームを自分で考えて確立したから大成功できたのです。
それに特筆すべきは二人ともほとんど故障しない事です。いかに自分に合ったフォームが大切かをこのことは教えてくれます。
■個性的でいい。安全な歩き方を目指すべき
脳の損傷によって元の歩き方が困難な人が圧倒的に多いと思います。我々は、それぞれ損傷の部位が同じではありません、その意味で全て個性的存在です。したがって自分にあった安全な歩き方を目指すべきで、他人と違っていても気にする必要はありません。
セラピストはそれを指導できなければならないと思います。健常者とフォームを比べるだけなら素人でもできることです。健常者の歩きかた(前歩き)をベースとしながら、それぞれの障害の程度に合わせた安全な歩き方を提案すべきなのです。セラピストが、まず価値基準を変更すべきなのです。安全な横歩きの指導もすべきです。つまり実生活に即した実践的な歩行の指導をすべきなのです。
それじゃ~また。
タグ:リハビリ散歩
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