脳血管性うつ病について(2)発病メカニズム [障害者として生きる]
脳血管性うつ病について(2)
脳血管性うつ病の第2回目の今回は脳血管性うつ病の分類と発病メカニズムの話です。
早速、本題に入っていきます。
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■脳血管性うつ病の分類
脳卒中の発作後に、うつ状態が見られることは臨床現場では古くからよく知られていました。
脳卒中後うつ病に関する研究は1970年代に始まり、中でもロビンソンが脳卒中の発作後に出現するうつ状態を脳卒中後うつ病( post strokedepression:PSD) と提唱しました。
さらに1990年前後になり画像診断特にMRI 検査を用いた研究が進むにつれて、老年期うつ病患者さんの中に脳卒中発作の既往はなく、麻痺などの局所的神経徴候は見られないがMRI の画像検査で無症候性脳梗塞を伴ううつ病が高頻度に認められることが多数報告されました。
こうした背景から現在では脳血管性うつ病と言うと脳卒中の発作後に起こる脳卒中後うつ病と、老年期うつ病患者さんの中で臨床症状からは明らかに脳卒中の症状が見られないが MRIによって脳血管障害すなわち無症候性脳梗塞が認められるうつ病(MRI-defined VD )の二つに分類されます。
■脳血管性うつ病の発症メカニズム
脳血管性うつ病の発症メカニズムについては、まだ不明な点が多く、単一のメカニズムで説明することは難しいのが現状です。
脳卒中後うつ病の発症要因について1960年代は心因説が優勢でした。すなわち突然大きな病気に罹患したこと、長期にわたる入院治療やリハビリテーションの困難さ、家庭復帰や職場復帰など、様々な将来への不安 、そう言った心理的反応として脳卒中後うつ病に至るという報告が中心でした。
しかし1970年代のホルスタイン等の報告によって、身体障害の程度を一致させた脳卒中患者さんと整形外科患者さんにおいて、うつ病の発症頻度を比較したところ脳卒中患者さんのうつ病発症率が45%であったのに対して、整形外科患者さんは10%でした。
脳卒中後の患者さんの方が高頻度にうつ病を発症していました。その結果から脳卒中後うつ病は単に心理的反応ではなく直接的な脳損傷がうつ病の発症要因になったのではないかと考えられるようになっていきました。
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脳卒中後うつ病は、単に心理的反応だけでなく、直接的な脳損傷がうつ病の発症要因になったのではないかと言う事です。我々の脳卒中後のうつ病は心の問題だけでなく、やはり脳損傷の問題でもあったのです。
次回は、血管性うつ病の生物学的発生要因についての詳しい話です。
それじゃ~また。
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