(12)脳卒中後うつ病の治療-心理的アプローチ-1 [障害者として生きる]
二、心理的アプローチ
■心理的アプローチ
次に心理的アプローチについてお話しします。重症身体疾患、特に生命の危機を伴う疾患の完治は難しく、障害が残り社会生活上の変化を余儀なくされる疾患に罹患するということは、それまでの身体的健康やそれによって支えられていた自信を失います。
さらに社会的立場や家庭での役割に変化が生じ、このような変化は患者さんにとって重大な喪失体験となります。
脳卒中の程度によって身体機能の低下が生じることで、今まで当然の様に行えていた日常生活動作が行えず、他者の手助けを必要とする状態は患者さんの自尊感情を著しく低下させます。
心理過程は、脳血管障害に限らず多くの身体疾患に伴う心理的問題の対応を考える際、念頭に入れておかなくてはいけない重要なテーマです。
心理的アプローチは以下の4点にポイントを当てて進めていきます。
まず1つ目は「支持的心理療法」です。
まずは支持的な姿勢で 、患者さんに対応していく心理的な心理療法です。
最も重要なことは、患者さんの苦痛や困惑をよく理解することです。患者さんの気持ちに関心を寄せ、疾患が患者さんの心理や生活に与えた影響について、患者さんが抱えている感情の表出を促し、それらを支持的に、共感的に聴くことが大切です。
2つ目は「心理的教育」です。
心理的教育アプローチは目的は、疾患や治療に関する正しい医学的知識情報を提供することと、不確実な知識や理解から生じた誤解や思い込みを訂正し、誤解から気にしている不安や心配を軽減することです。
患者さんに正しい医学的知識を提供することは、患者さんが自分の病気を受け入れる手助けとなり、誤解による無用な不安を軽減させる働きがあります。
特に高齢の身体疾患患者さんは心理士から心理的援助を受けること自体に抵抗があり、心が弱いと判断されたくない、周りの人にカウンセリングを受けていることが知られたら恥ずかしいなど、様々な誤解や偏見を持っている場合があります。ゆっくり話を聞きながら誤解を訂正し安心して心理的援助を受けてもらうことが大切です。
また心理教育のなかで脳血管障害の危険因子に関する情報を提供し再発予防のための生活指導を行うことも重要です。
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それじゃ~また。
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