【法則五】期待値を上げすぎない 【法則六】言語を使う [障害者として生きる]
前回の続き、脳卒中片麻痺の暮らしにおけるストレスとの付き合い方、片麻痺生活のストレス対応技術(コーピング・スキルズ)を考えてみたいと思います。
前回の「感情的にならない技術」に加え、「幸福を感じる力」、「認知」といった別の視点も加えて考えてみたいと思います。
法則五 期待値を上げすぎない
元の体に戻るという高い目標は、後遺障害の重い人には、やはり大きなストレスを生むように思います。
(ゆる~くいきましょう)。
■『しまった! 「失敗の心理」を科学する』 ジョゼフ・T・ハリナン著(注1)によると
逃げられない状況に陥った人の方が、受け入れることを学び「やがて生きていてよかった」と人生の幸福感を強めていく。「人は適用する」「なまじ希望があると適用が妨げられる」四肢麻痺から、失明まで様々な障害を持った人達は一応に驚くほど高い幸福度を示している。93%が「生きていてよかった」、84%が「自分の生活は平均以上だ」と感じている。だだ、ほとんどが無職で未婚である。
我々には「きつい」ことではありますが、やはり現状をあるがままに受け入れることで、幸福感を感じやすくなり、ストレスが緩和されるのでしょう。これは回復をあきらめると言う事ではなく、週単位、月単位の急激な回復を期待するのではなく、年単位のゆっくりとした回復を覚悟するという事だと思います。
なお、幸福を感じている人は判断ミスをしない、したがって失敗しない状態らしいです。
(注1)元ウォールストリート・ジャーナル記者。ハーヴァード大学元特別研究員。医療過誤をテーマとした一連の調査報道でピュリッツァー賞受賞しています。
■「定年後のリアル」勢古 浩爾さんによると
とにかく期待しない。高齢者(障害者)に優しい社会などどこにもないのだと覚悟を決める。
妻にも家族にも期待しない。もちろん他人などには一切期待しない。こんな生活を送る。
その上で、ごくわずかな親切でも受ければ、飛び上がってもう大げさ過ぎるくらい喜ぶのだ。(私は身体的には飛び上がれませんが 笑)
法則六 言語を使う
次いで言語学や認知運動療法の臨床の知恵から考えてみましょう。
■『「認知運動療法へ・私の臨床ノート(1)道具と治療」 塚本 芳久他著』によると
自分の性格や行動パターンを分析する際は他人からの意見を聞いたり文章に書きだしたりして言葉により自分を客観的に眺め分析する。自覚できなければ性格や行動は変化しない。つまり言葉による聞き取り、書き出しは治療の道具であり、ストレスの解消につながる。
なお、本書では、運動機能の回復には言語記述という認知過程が重要な関りを持っていることは確実だとの主張があります。
注:同病で失語障害を持たれている方の中で、この法則実行できない方がおられるかもしれません。
今回は、期待値を上げすぎないことで、ストレスを感じにくく、幸福を感じやすくすること。言葉を使い自分を客観的に分析することによりストレスを解消する。という二つの法則でした。
それじゃ~また。
タグ:コーピング・スキルズ
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