「ありがとう」の言葉の力 [障害者として生きる]
回復病棟に入院しているとき一人の女性と言葉を交わすようになりました。
彼女は、私の病室を毎日掃除してくれる「お掃除おばちゃん」です。
よく掃除の仕方を見れば人柄がわかるといいますが、四角い場所を丸く掃除する人は多くいます。見るとは無しに見ていると、とにかく熱心で丁寧です。掃除のプロなのだから当たり前と言えば当たり前なんですが、ひたむきにやっているのがわかるのです。
彼女は、7つ道具を積んだ大きなお掃除ワゴン車を押して病室を回ります。
窓掃除も、道具を使って本当に手際よくこなします。プロの仕事に接すると見ているこちらも何かエネルギーが湧いてくるのです。
彼女とは毎日2~3言言葉を交わすようになりました。心から「ありがとう」を言う事の効用も彼女を通し実感できました。
「おはよう」「ありがとう」「いい天気やね」といった言葉だけで、心が通い合う感覚です。
私は車イス生活がわりと長かったのですが、そんな私が、車イスから立ち上がって初めて杖で病棟に歩いて戻った時がありました。付き添ってくれているPTもうれしさのあまり「メガネさんが歩いた」とさかんにアピールするのですが、看護師さんたちは関心を示さず何も言いません。
私が部屋に戻ると、いつものように彼女が掃除していました。杖で立っている私を見て驚いて声を上げました。それから「ほんとうに良かった!」と涙を浮かべ喜んでくれました。やはり気持ちは通じていたのです。
私は「ありがとう」の言葉の効用を実感しました。これから介護で様々な方に世話になると思います。この心からの「ありがとう」の言葉で関係を作り上げたいと思います。
本当にいい思い出です。「お掃除おばちゃん」にただただ感謝です。
それじゃ~また。
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