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最後の教え(2)人に貢献せよ

 広隆寺弥勒菩薩.jpg

 

それからおよそ2年後のある日、午前中の役員会で、私のあまりの「できの悪さ」が話題になったそうです。その時、冷静沈着な師匠が珍しく声を荒げて「私が責任を持って一人前にします」と言われたそうです。そして、その日の午後にクモ膜下出血で倒れられ一週間後亡くなられました。


私は今もこの時のことを思い出すと、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。全ては私の不器用、能力不足が原因なのです。


葬儀が終わった後、師匠の奥さんが「普段家で仕事の話をしないあの人が、あなたを育てるのが俺の最後の仕事やと言っていたのよ。」と 教えてくれました。正直、「堪忍してくれや!何でよりによって俺なんかに目を付けたんや」と恨めしくさえあり落ち込みました。


師匠の多くの教えの中でも、「謙虚であれ」と「戦うと決めたら徹底して戦え」は、特に印象に残っています。戦うときは、経験がない、知識がないなどと言い訳せず、徹底的に粘り抜いて考えろということを教えてくれました。

その後もこの二つの教えに関しては何とか60点、及第点が取れたように思います。とにかく当時の私の仕事は師匠の話を聞くことでした。驚くべき経験を惜しげもなく語ってくれました。


そして師匠の最後の教えは、私にしてくれたこと、すなわち「人を育てる」ことです。より広く考えれば「人に貢献せよ」という事です。師匠の無言の教えです。死を前に病室で強い目で私をじっと見た。私はメッセージを確かに受け取りました。

 

誤解してほしくないのですが、師匠は徹底して「利」に生きた大阪の「あきんど(商人)」です。ボランティア活動をする方ではありませんし、偽善を何より嫌っていました。

 

長年、爪に火をともすように節約して生きざるを得なかった人は、豊かになっても贅沢に興味を覚えなくなるようです。そして遺産として残すほかは多額の寄付をする。そんなお金の使い方する人は大金持ちでなくても結構います。

 

師匠の貢献もこれに近い気はします。まず必死になってその道で一人前になる。そしてそこで得た経験と知恵を伝えることで、人に貢献しなさい。そんな教えだったと思います。

 

師匠は、鉄鋼問屋の倉庫番から営業、財務部門を経て社長に上り詰めました。その間、通信教育で高卒の資格を取得、さらに仕事に役立てようと社会保険労務士の資格を取り、税理士試験も最後の1科目残すのみでした。結局、無理がたたって大病を患い会社を辞めて、療養後、乞われてある団体の事務局長をしていたのです。

 

この経歴だけからは特に際立ったように感じられないかも知れませんが、どん底(大阪西成のドヤ街)からの壮絶な人生を生きたのです。ですから多くの人が人づてに噂を聞いて訪れてきていたのです。その人の最後の目標が「人を育てる事」、「人に貢献する事」だったのです。

 

この点に関して私は未だ及第点は取れていません。これから死ぬまでの大きな目標です。ただ私は私なりの方法でこれを果たしたいと思っています。

 

 

それじゃ~また。

 

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