運命を決める意志 宮本輝氏「長流の畔(ほとり)」 [お勧め本]
あけましておめでとうございます。
新年早々当ブログをご覧いただき本当にありがとうございます。
ご同病の方々、その家族の方々、本年もどうかよろしくお願い申しあげます。
2017年の始まりの今回は、リハビリ関係の本ではなく宮本輝氏「長流の畔(ほとり)」のご紹介です。
私は現役生活の間、小説を読むことは殆どありませんでした。
ただ一つの例外が、宮本輝氏の「流転の海」シリーズです。
宮本さんの父と母、そして幼い宮本少年がモデルの小説です。ほぼ実話に近いと思います。「流転」と謳うだけに家族を中心とする波乱万丈の大河小説です。時代の荒波を、精力的で智恵と愛情ににあふれる父と母は必死で乗り切ろうとしますが、様々な要因が絡まりそううまくはいきません。昭和20年代からから宮本少年が成人し父が亡くなる約20年の物語です。
脳卒中で倒れた後、回復期リハビリ入院していた病室。気持ちが沈んでいく中で、妻に持って来てもらい第1巻から再読を始めました。
そんな宮本輝の名作「流転の海」シリーズの第8部が「長流の畔(ほとり)」です(いよいよ次が最終章です)
その中に次ぎの一文があります。
「どこが始まりでどこが終わりなのかわからない長い長い川の畔(ほとり)を旅していて疲れ果てて倒れこんでてしまうときがあっても、そこには”害虫”もいれば”スミレ”も咲いている。そのどちらかに出会うかは「運」ではなく「意志」である。」
ご病同の皆さんはいかがでしたでしょうか。
倒れた後も変わらず家族や友人などが周りにいてくれたとしたら、少なくともこれまで意志と覚悟を多少持って生きてきたと言えるのではないでしょうか(私はそう思いました)。
そして、もしそうであるなら障害者となったこれからも、少々の意志と覚悟を持って生きていこうじゃないか。私は勇気づけられました
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◆◇宮本輝さんと同じ町内会でした
阪神淡路大震災で我が家は壊れたのですが、宮本輝さんとは同じ町内会でした。
宮本さんのお宅も大きな被害を受けられました。ちょうど中間の位置にあった家は倒壊し、老年のご夫婦がお二人とも亡くなられました。後日、夫が妻をかばう様に覆いかぶさった状態で発見されました。その時、町内会の多くの人が協力し手作業で、がれきをかき分け救助を試みました。私も参加し、皆で必死になって作業しましたが、結局助け出せませんでした。宮本さんは当日は仕事で富山におられたようです。
所で、この時期の私は、宮本作品とは、心情的には最も距離を感じていました。仕事に追われ小説の類を読む余裕もなかったこともあります。
あれから22年、もう住むところは遠く離れていますが、今の私は宮本作品と心情的には最も近いところにいます。何か不思議な気分です。
タグ:精神・魂
2017-01-01 00:00
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