失業した片麻痺の男と孫が、親族を頼って旅をする [映画・音楽・美術]
◆魚師の男が、脳卒中片麻痺になったことで仕事ができなくなり 収入がない。
「誰か 扶養してくれないだろうか」と、疎遠になっている兄弟を訪ねる旅を孫と一緒にする。
脳卒中片麻痺の当事者としては、「こんな虫のいい話、上手くいくはずない」と、結果が予想できるだけに、何とも切ない気持ちになる。
(5)脳血管性うつ病の臨床症状 [障害者として生きる]
脳血管性うつ病について(5)脳血管性うつ病の臨床症状
第5回目は、いよいよ具体的な症状です。
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■脳血管性うつ病の臨床症状
次に脳血管性うつ病の臨床症状について次の様なものがあります。
第一に 一般的なうつ病と比較すると、抑うつ気分、悲観的な思考が軽度で,
活動性意欲の低下が目立ち寡黙になってほとんど何も訴えないこともあります。
これは脳卒中後の無関心や自発性低下であるアパシーという症状と類似した症状です。
第二に、一般的なうつ病ではしばしば認められる自責感、罪業感が少ない。
第三に、頭重感、ふらつきなど身体的不調を強く訴えることが多い。
第四に、自分がうつ状態にあるという自覚が乏しいことが多い。
第五に、 認知機能障害中でも遂行機能障害が認められることが多いなどです。
一般的なうつ病と言うと誰でもが思い浮かぶ抑うつ気分や、悲観的思考といった症状が軽度で、本人の自覚症状病識も乏しいという特徴から脳血管性うつ病が見過ごされてしまう要因になります。
従って脳血管障害患者さんで、意欲低下や活動性低下が認められる場合はうつ病の可能性を念頭に入れて注意して見ていく必要があります 。
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私が以前記事にした「奥さんに殴られる脳卒中片麻痺障害者」の方、やはりうつ病の疑いが濃厚です。
それじゃ~また。
老いて暖まりたい者は、若いうちに暖炉を作っておけ [障害者として生きる]
困った入院患者 つきまとい男 [リハビリ、入院・通所]
◆リハビリ医のはるか彼方先生と私が話していると、たまたま通りかかった人が先生に話しかけました。「おふたりとも私の患者さんです」と紹介されたこの人、後にわかるのですがとんでもない「つきまとい男」でした。
◆この人左右の手足ともぴんぴんで、軽やかに階段の上り下りしています。脳梗塞ですと言われても最初まったくぴんと来ませんでした。
ただ、少し話すと、この人すぐ泣き出すのです。典型的な感情障害の症状です。それで、やはり私と同じ脳卒中かなと少し納得しました。発病後1ヶ月ですが、もういつ退院してもいいとはるか先生からの許可はでているのです。
◆それで話すようになったのですが、すぐに車の運転について教えてほしいので部屋を訪ねてもいいかと言ってきました。私は同室者の退院が相次ぎその時たまたまひとりぼっち部屋になっていたので、気楽に承諾しました。
この人、計算ができない。ものをすぐ忘れる等ひどく気にして落ち込んでいるのです。「そんなもん…なんぼのもんじゃい!」と思いましたが、私と違い右麻痺の高次脳機能障害ですので、口に出すことができませんでした。
すると次の日の夜は夫婦で話が聞きたいと言います。私の経験も少しは役立つかなとこれも承諾しました。
夕食のあと面会時間が終わるまでの1時間程度話しましたが、優しそうな奥さんでした。
◆驚いたのは次の朝です。朝食が終わってすぐこの人私の部屋へ現れたのです。昨夜奥さんを交えゆっくり話し合ったその翌朝です。これ以上何を話すのか??
それからです私のリハビリが終わるのを毎日待っている。私はいつもリハビリ室が閉まる直前までリハビリを続けるのですが、それを待っているのです。
◆2~3日を経てわたしの病室にも新たな入院患者がありました「もう部屋で話すことは他の方の迷惑になるのでできません」と伝えました。
すると今度は「部屋の外で話しましょう」などといってくるのです。私は今日は疲れているなどと適当な理由を付けて断っていました。
そうするとリハビリしている私の側に来て「メガネさんと、話しできないなら入院していても仕方ない」などと情けない顔をするのです。あれこれ考えて夜もなかなか眠れないようでした。
◆もう先生の許可も出ているのだから退院されたらどうですか。ここで悶々とした日々を過ごしていたら別の病気になりますよ!!
たとえここで24時間他人と喋っていても自信はよみがえらないですよ。それより早く日常生活に戻って、できることを確認しながら自信を取り戻す方が良いのではないですか。体はこれだけ動くのですから、他人に頼っていちゃダメですよ。
わたしのアドバイスが効いたかどうか翌日の午前中に奥さんとともに退院されて行かれました。私の付きまとわれも無事終了しました。
◆このことが気になり、後で色々調べていくと「脳血管性うつ病」という疾患に行きつきました。
幸いテレビの放送大学でこの疾患に関しての講座がありましたので、その内容を当ブログでもお届けしています。
それじゃまた。
「死に物狂いのリハビリ(?)」なんてとんでもない!(10年経過で感じるリハビリの難しさ) [障害者として生きる]
◆脳出血で倒れてから満14年、心筋梗塞から満13年が経過した。 「なんとか、10年生き残った」という感慨である。まぁ~正直嬉しい。 ただ10年以上、片麻痺生活、歩行リハビリを継続してきて強く感じることがある。今回そんな思いを述べてみたい。 ◆慢性期のリハビリの難しさ、立ちはだかる「陽性徴候」 最も強く感じるのは、慢性期の片麻痺リハビリの難しさだ。 障害も重度になってくると、頑張れば頑張るだけ良くなるといったそんな生易しいものではない。 装具や杖を使ってかろうじて歩いている状態では相当工夫したリハビリをしなければならない。回復期にリハビリ室で教えてもらった方法だけだけでは全く対応できない。 それは何より、「陽性徴候」と呼ばれる症状のせいで、麻痺改善に大きなブレーキがかかるのだ。これは、反射の亢進、痙性、拘縮、内反尖足、クローヌスなどが現れる症状である。 ◆筋緊張が大きな原因だが、リハビリを頑張れば頑張るほど過緊張の状態に陥(おちい)るのだ。
こうなったら何をやってもムダどころか、力みから変な癖までついて退行する。
結果、杖で歩行していた人が、10年後電動車イスになったりする。
やってられるかい!(怒)
だから、この陽性兆候をコントロールしながら、いかにリハビリを継続するということが重度片麻痺障害者の慢性期リハビリでは肝要なのだ 。
まかり間違っても「死にもの狂いのリハビリ?」などやちゃいけない!
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◆どうやって身体を緩めリハビリを継続するか
私が必要と感じるのは重度の片麻痺障害のリハビリは、まず陽性徴候の症状を鎮(しず)めるため、身体を緩める方法を知った上で、リハビリに継続して取り組むということだ。 身体を緩める代表的な方法はストレッチだろう。ただしストレッチは悲しいことに効果が概ね一時的だ。ストレッチした直後はいいが、直ぐ元に戻ってしまうことが多いのだ。 例えば「内反尖足」は、ほぐす伸ばすのストレッチでは改善されない。 そこで、医療的治療として注目されたのが「ボツリヌス治療」だ。私も5回受けた。10回以上の人が数多くいる。つまり効き目が期間限定商品なのだ。
◆未だ決定打は見いだせないが
これまで、はり、リラクゼーション、脱力ストレッチ、マインドフルネス瞑想(腹式呼吸+ハタヨガ)、腱引き、足指回しなどに取り組んできた。しかしこれをやっておれば大丈夫という決定打は今だ見いだせていない。しかし状態は徐々に改善されてきた。 まだ皆様に胸をはって披露できるほどではないが、この自ら体験したことを、いずれ皆様に紹介したいと思っている
それじゃ~また |