◆和歌山県新宮市出身の作家 中上健次は「枯木灘」で、半島の荒ぶる海、荒ぶる男たちを描いた。
子供の頃から肉体労働に従事させられ、魂が沸騰する様な激情を感じることのあった私は、彼の小説の虜(とりこ)になった。
◆熊野の枯木灘は、和歌山県南西部の白浜町から串本町に至る太平洋に面した約40キロメートルの海岸で、寄る港のない海岸を「枯木」と呼んだそうである。
◆今回の旅で、紀伊半島の南端、串本の橋杭岩 (はしぐいいわ)から、一旦古座街道に入り、そこから枯れ木灘で唯一の寄港地であった周参見(すさみ)に抜けた。
さらに枯木灘の西端の白浜、田辺まで走り、そこから北の高野山へ向かった。
◆半島には、海も山もエネルギーに満ちており、「磁場のエネルギー」といったものが充満していた。
60才を過ぎた私は当てられて、正直非常に疲れた。しかしこんな旅は一人旅でしか味わえないだろう。
地元近畿地方にこんな濃い所があったとは。
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