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病の皇帝「がん」に挑む(上巻) [お勧め本]

国民の三大疾病の一つが、がんです。 ご存知のように、この治療には現在、外科的切除手術、 抗がん剤による薬物治療、 放射線による治療と代表的な三つの治療があります。がん細胞の研究と、 これらの治療の足跡を 辿る 腫瘍内科医かつがん研究者である著者の意欲作です。 ピュリッツァー賞、ニューヨークタイムズベストブックにも選ばれています。

 

いつものように私の印象に残った所を抽出します。今回は上巻です。

 

病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘 上

病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘 上

  • 作者: シッダールタ・ムカジー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/08/23
  • メディア: 単行本

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◆細胞が分裂するからこそ我々という生物は成長し 、適応し、回復し、修復し生き続けることができるわけである。さらにがん幹細胞は正常細胞よりも早く増殖しうまく適用するつまり我々自身のより完璧なバージョンと言えるのだ


◆がんは、しばしば、本当に体液性の病となるカニのようにせわしなく動きながら臓器から臓器へと目には見えないトンネルを掘っていく。まさに全身性な病なのだ。


◆がんの最終的な生存率というのは, 外科医が乳房をどれほど広く切り取ったかではなく手術前にがんがどれほど広がっているかに関わっているということだ。


◆腫瘍を取り除くために筋肉までも取り除かなければならないほどガンが進行しているなら元は既に全身広がっているはずだ。


◆科学の世界にはごくわずかな量で 数分のうちにガン細胞を殺してしまえる有毒物質がたくさんある。問題は選択的な毒すなわち患者の命を奪うことなくがんだけを殺せる薬を見つけることにある。


◆がんには、気性があり、人格があり、習性がある。その生物学的な多様性は治療の多様性を要求する。同じ治療を全ての患者に無差別に適用することはできない。


◆アメリカとカナダの34のセンターで合計1765人の 患者が乳がんの臨床試験に参加した。患者達は無作為に三つのグループに分けられ、 一番上のグループには根治的乳房切除術が、2番目のグループには単純乳房切除術が、3番目のグループには手術後に放射線治療が行われた。

その結果三つのグループの間で 統計的な 有意差はなかった。 根治的乳房切除術で治療されたグループは重いし身体的代償を支払ったにもかかわらず予後に関して何の利益も得られなかったのだ。


◆1980年代腫瘍学の 中から異端者の声が聞こえはじめた。 それはもう何世紀もの間がん医療の 辺縁に回り続けていた声だった。 化学療法や手術の臨床試験が進行癌の死亡率を減らすのにことごとく失敗していく中で、 外科医や化学療法専門医の中に、患者を治せないのならケアしようと、患者のケアの技術を学び始める世代が現れたのだ。


◆1962年から1985年までに癌の死亡率は8.7%増加した。 その増加の多くの要因を反映したものだが 中でも最も強い影響を与えていたのは1950年代の喫煙率の増加による肺がんの増加だったろう。 とはいえ唯一疑う余地なく明白だったのは、アメリカの癌死亡率が減少していないという恐ろしい事実だった。

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