(6)病室は合宿所の様相。みんなでタイガース観戦 [リハビリ、入院・通所]
◆私達の4人部屋の雰囲気はものすごくよくなってきました。
E男さん(病歴7年)、K男さん(病歴3年)メガネ(私、病歴2か月)、トラ男さん(病歴よくわかりませんが、たぶんここが4つ目の病院)、トラ男さん奥さん(夫に対して「信じられへんわ~」を連発)の5人でワイワイガヤガヤ。
恒例のテレビのタイガース中継は、今やトラ男さんのテレビの周りに集まってみんなで観戦するようになりました。
幸いなことにK男さんはジャイアンツ・ファン。阪神対巨人戦はこれでないと盛り上がりません。
K男さんの悔しそうな顔・・これがあってこそ阪神ファンの歓喜は絶頂に達するのです。
E男さんは野球にはあまり関心はないようですが、みんなのお付き合い。
◆延長戦に突入し消灯時間が過ぎ、顔をだされた准看護師さん
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「まっ、この部屋はいいか!試合終わったら電気消して寝てくださいよ」と笑っています。
トラ男さんのベッドの柵はどうなったか、
もう覚えていませんが、バトルがすっかりなくなったのは確かです。
とにかく、もう病棟というより合宿所の雰囲気です。
トラ男さんもいつもニコニコ。
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◆よく運転するとき人柄が豹変すると聞きますが、阪神ファンは試合になると人柄が豹変する。 私などその典型で、敗色濃厚となると「ひいきのひいき倒し」をびたび起こすのですが、
トラ男さんの吠えにはそれが感じられません。
トラ男さんは実に部下の面倒見が良い方だったと、奥さんに聞かされたのですが、それも納得できました。
そんなトラ男さんには、さらなる幸運が・・・それは次回
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(高次脳機能障害)理解者現る 「イヤ!」トラ男さんの入院記-5 [リハビリ、入院・通所]
◆そんなある日ベテランE男さん(脳出血病歴7年)がリハビリ入院し同室となりました。
ベテランE男さんは明らかに他の人と違い、トラ男さんに優しく接します。
◆「トラ男さんは高次脳機能障害なんや。せやから怒ったらあかん」と指摘し、我々にトラ男さんの障害を詳しく説明してくれたのです。
◆さらに快活で男性的なk男さん(脳出血病歴3年)が同室に加わりました。
ベテランE男さんはk男さんにもトラ男さんの高次脳機能障害のことを丁寧に説明していました。
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◆これで、同室は、E男さん(脳出血病歴7年)、k男さん(脳出血病歴3年)、トラ男さん、私メガネサルの4人です。 これに2日に1度、片道3時間かけて車で通ってくるトラ男さんの奥さんが会話に加わるようになりました。
「信じられへんわ~」
トラ男さんに振り回される奥さんの口癖です。
トラ男さんの病気に対する共通理解が出来上がったことやトラ男さんの奥さんの明るいキャラクターが加わり病室全体が急速になごんでいきました。
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◆トラ男さんの経歴にびっくり! トラ男さんのことも色々解ってきました。
大学で福祉を専攻し、京都のM市役所に勤め、福祉部門の幹部であることなどです。
看護師との言い争いにも、理由はあったように思われてきました。
トラ男さんにたいする我々の共通の理解が進む中、
仲間意識の様なものが出てきました。
トラ男さんが部屋から居なくなる。機敏に察したE男さんが言います「サルちゃん頼む!」
その当時車いすは私だけで、K男さんもE男さんも杖歩行でゆっくり歩行。
◆私はリハビリに行く時など、車いすをこぐのに苦戦している人を、後ろからちょこと押せるほど達人(?)になっていました。それで全力で車いすをこいで病院内を探し回ります。 |
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◆そのうち解ってきたのです。トラ男さんは奥さんを出迎えに行っているのだと。 ◆高次脳機能障害についても看護師から同室者に簡単な説明があってもよかったと思います。そうすれば我々の態度も違っていたと思います。 つづく
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吠え吠え合って親しくなる 「イヤ!」トラ男さんの入院記-4 [リハビリ、入院・通所]
◆その後我が病室には、患者の入れ替わりがあり、トラ男さんも時々病室からいなくなり、病院からも脱走していました。 そして周りのみんなは相変わらず迷惑かけられ怒っていました。
◆ただ私とトラ男さんにはある共通項がありました。トラ男さんはあだ名の通り熱狂的な阪神タイガースファン。ベッドにはトラのバスタオルです。 一方、私も小学3年から40年来のファンで、甲子園球場へは自転車で行ける所に住んでいますし、鳴尾浜の阪神タイガースの2軍の練習や試合を見るのが何より好きな程なのです。
◆テレビでナイター観戦が始まります。トラ男さんは「う~!」「あ~!」と叫び、私は「ボケ!」、「アホ!」と互いにテレビに向かって叫びあっていました。でも毎日同じ野球シーンを見て叫び声をあげる中で「トラ男さんて、意外に温かい人なんやなあ~」と私は思い始めました。味方がエラーしたり打たれたりすると私の場合は「ボケ!」「アホ!」なのですが、トラ男さんは残念そうな唸り声なのです。 ◆同じ阪神ファンとして、選手に対する愛情の様なものを感じるのです。私は少しづつトラ男さんと笑顔を交わすようになりました。言葉でのコミュニケーションは取れなくても吠えあって共鳴し、共感しあえたのです。 ◆それからトラ男さんは、リハビリが終わった後など、私のベットまで来て、満面の笑みを浮かべながら缶コーヒーをプレゼントしてくれるようになったのです。 つづく
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「イヤ!」トラ男さんの入院記-3 看護師長さんも泣かせるトラ男さん [リハビリ、入院・通所]
◆他にもトラ男さんに、泣かされるのが病棟の責任者の看護師長さん。
トラ男さん、時々病室から突然いなくなるのです。それだけでなく何と時々病院を脱走してしまうのです。病院から数百メ-トル離れた商店街で車いすをこいでいたりするのです。
◆普段は穏やかな看護師長さんも、この時ばかりはカンカンに怒っています。「奥さんに電話してすぐ来てもらいます!!」
トラ男さんの奥さんは隣の隣の県から一日置きに片道3時間もかけて車で病院にやってきます。
◆トラ男さんの車いすはこんな張り紙が貼られることになりました。
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トラ男
連絡先 ○○病院
電話番号 *****
この方は当院の入院患者ですが、
言葉が不自由です。
お見かけになりましたら
当病院までご連絡下さい
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それじゃ~また |
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